あな痔とは
下痢や体力が弱っている時に、肛門にあるくぼみ(肛門陰窩)から細菌が入り込むと、肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がり膿瘍を形成します。この状態を肛門周囲膿瘍とよびます。肛門の周囲が腫れて痛み、38℃以上の発熱を伴うこともあります。たまった膿が出ると痛みはなくなり、管状のしこりとなったものを痔瘻とよびます。
治療法
肛門周囲膿瘍は、まず腫れている部分を切開し、膿を出します。膿が出ると痛みは楽になりほとんど症状はありません。瘻管が残り痔瘻になると、再発したり複雑に広がったり、まれにがん化することもあるため根治手術を行います。
低位筋間痔瘻
病巣の深さと特徴
内括約筋と外括約筋との間を下に伸びるタイプ。
痔瘻の約6割を占めます。
手術法
●瘻管が後方にある場合は「切開開放術」
●瘻管が前方や側方にある場合は「括約筋温存手術」あるいは「シートン法」
高位筋間痔瘻
病巣の深さと特徴
内括約筋と外括約筋との間を上に伸びるタイプ。
二次口がないため排膿されません。
痔瘻の1割弱にみられます。
手術法
●「括約筋温存手術」
坐骨直腸窩痔瘻
病巣の深さと特徴
外括約筋を越えて肛門挙筋の下のほうまで伸びるタイプ。
肛門の後方を複雑に走行します。
痔瘻の約3割を占めます。
手術法
●「肛門保護手術」
骨盤直腸窩痔瘻
病巣の深さと特徴
肛門挙筋の上に伸びる。直腸狭窄を起こしやすい。ごくまれにみられる。
主な治療法
●治療が大変困難で、手術をして人工肛門になる場合もある。
分類 | 病巣の深さと特徴 | 主な治療法 | |
---|---|---|---|
浅部(単純)痔瘻 | 低位筋間痔瘻 | 内括約筋と外括約筋との間を下に伸びる。 痔瘻の約6割を占める。 |
●瘻管が後方にある場合は「切開開放術」 ●瘻管が前方や側方にある場合は「括約筋温存手術」あるいは「シートン法 |
高位筋間痔瘻 | 内括約筋と外括約筋との間を上に伸びる。 二次口がないため排膿されない。 痔瘻の1割弱にみられる。 |
●「括約筋温存手術」 | |
深部(複雑)痔瘻 | 坐骨直腸窩痔瘻 | 外括約筋を越えて肛門挙筋の下のほうまで伸びる。肛門の後方を複雑に走行する。痔瘻の約3割を占める。 | ●「肛門保護手術」 (一種の括約筋温存手術) |
骨盤直腸窩痔瘻 | 肛門挙筋の上に伸びる。直腸狭窄を起こしやすい。ごくまれにみられる。 | ●治療が大変困難で、手術をして人工肛門になる場合もある。 |
主な原因
主な症状
- 肛門内部のウミ
- 発熱
- 腸内の圧迫感
- 肛門周辺の痛み
- ウミの漏出による下着の汚れ
- 椅子に座った状態での痛み
など
治療方法
まず、ウミを出すことが先決です。「単純痔ろう」の多くは、外来の手術で対応できます。他方、トンネルが深部まで進んでいたり、枝分かれしていたり、複雑化しているケースでは入院が必要です。
手術に際しては、「完治すること」と「肛門機能をなるべく失わないこと」の両立を優先します。高度な技術と入院のできる病棟を擁する当院なら、相反する両者のバランスを考え、患者さんに最も適した治療計画の立案が可能です。
切開開放術
瘻管を切開して開放する手術で、lay open法ともいいます。肛門後方部であれば、括約筋を切除しても肛門の機能には影響しません。再発がほとんどみられない手術です。
括約筋温存手術
括約筋を切断せず、なるべく傷つけないように行う手術です。くり抜き法といって、瘻管だけをくり抜く方法などがあります。
全瘻管切除術
説明が入ります。
シートン法
瘻管の原発口から二次口へゴム糸を通して縛り、徐々に瘻管を切開して開放する方法です。
こちらのページもご覧ください
全瘻切開開放術+くり抜き術
説明が入ります。