いぼ痔(痔核)について

いぼ痔(痔核)とは

いぼ痔は、痔の中でもっとも多くみられる疾患です。肛門に負担がかかる(排便時のいきみ、便秘、激しい下痢、重いものを持ったときなど)ことのより、クッション部分が大きくなり出血や脱出するようになります。直腸側のクッションが大きくなったいぼ痔を「内痔核」、肛門側のクッションが大きくなったいぼ痔を「外痔核」とよびます。

内痔核

内痔核は、肛門に負担がかかることにより、直腸側のクッションが大きくなったものです。内痔核が肛門の外に脱出した状態を「脱肛」とよびます。直腸側のクッションは痛みを感じる知覚神経が無いため、通常、内痔核は痛みを伴いません。内痔核は脱出の程度により4段階に分類されます。

主な症状

・排便時の出血
・脱出
・残便感
・通常痛みはない

治療法

痔核治療の基本は保存療法です。肛門に負担をかけない生活習慣の改善と薬物療法(軟膏や座剤、内服薬)を行います。保存療法を行っても出血がひどい場合や脱出によって日常生活に支障をきたす場合に手術を行います。手術を必要とするのは、痔核の患者さんの1~2割程度です。

 

Goligher分類(脱出の程度による分類)

1度

・初期の段階。痔核の脱出はなく、痛みもない。排便時に出血する程度の状態。

<主な治療法>
 保存療法

2度

・排便時に痔核が脱出し違和感を感じるが、自然に戻る状態。

<主な治療法>
 保存療法

3度

・排便時に痔核が脱出し、指などで押し込まないと戻らない状態。

<主な治療法>
 手術療法(結紮切除術またはALTA注)

4度

・指で押し込んでも戻らず、出たままの状態。粘液がしみ出て下着が汚れる。

<主な治療法>
 手術療法(結紮切除術)

 主な症状主な治療法
Ⅰ度 Ⅰ度 痛みや自覚症状はないものの、出血を伴う場合があります。 保存療法
Ⅱ度 Ⅱ度 いぼが便と一緒に脱出し、違和感を覚えますが、自然に元に戻る状態です。 外来処置
Ⅲ度 Ⅲ度 いぼの脱出が常態化し、指などで押し込まないと、元に戻らなくなります。 手術療法
Ⅳ度 Ⅳ度 指で押しても戻らない状態です。 手術療法
Ⅰ度~ 痛みや自覚症状はないものの、出血を伴う場合があります。
Ⅱ度~ いぼが便と一緒に脱出し、違和感を覚えますが、自然に元に戻る状態です。
Ⅲ度~ いぼの脱出が常態化し、指などで押し込まないと、元に戻らなくなります。
Ⅳ度~ 指で押しても戻らない状態です。

治療方法

生活習慣と排便のコントロールを前提とし、症状に合わせて、以下の治療方法を検討していきます。

Ⅰ度~ ご自宅で使う軟膏を処方します。出血がひどい場合は手術します。
Ⅱ度~ 軟こうの処方と併用し、通院しながら適切な処置を行います。
Ⅲ度~ 手術療法が必要になります。痔核注射療法(ALTA)と結紮(けっさつ)切除術が考えられます。
Ⅳ度~ 痔核注射療法(ALTA)が主な対処方法です。
結紮切除術

痔核に流入する血管を結紮し、痔核を切除する手術。

術後の痛みの緩和や排便コントロールのため、一週間ほどの入院が必要です。

  • 結紮切除術1
  • 結紮切除術2
  • 結紮切除術3
  • 結紮切除術4
  • 結紮切除術5
痔核注射療法(ALTA)

痔核を切らずに注射で治す方法です。ひとつの痔核に対して4か所に分割して注射します。

ALTA投与後、まず痔核に流入する血管が遮断され出血が止まります。その後、痔核が次第に小さく硬くなり、元の位置に癒着・固定して脱出しなくなります。痛みや出血はほとんどなく、日帰りまたは短期入院での治療が可能です。10%程度再発することがあります。

血栓性外痔核

重いものを持ったりスポーツ(ゴルフなど)をした時に肛門側クッションの血管が出血し、肛門周囲に血栓が作られたもの。痛みを伴い皮膚を破いて出血することもあります。

主な症状

・痛みがある
・皮膚を破ると出血する

治療法

保存療法が基本。痛みが強いときに血栓摘出(外来で局所麻酔下に切除)を行う場合もあります。

主な症状

血栓性外痔核 血栓性外痔核 痛みや自覚症状はないものの、出血を伴う場合があります。
嵌頓(かんとん)痔核 嵌頓(かんとん)痔核 いぼが便と一緒に脱出し、違和感を覚えますが、自然に元に戻る状態です。

治療方法

生活習慣と排便のコントロールを前提とし、症状に合わせて、以下の治療方法を検討していきます。

嵌頓(かんとん)痔核

痔核内に血栓が多くでき、嵌頓状態(脱出して腫れ、戻らなくなる)となったもの。

主な症状

・激しい痛み
・皮膚を破ると出血

治療法

保存療法と疼痛コントロールが基本。痛みが強く我慢できないときは早期に手術(結紮切除術)を行う場合もあります。

手術の流れ

1当日まで

手術は午前中に行います。手術前日の夕食は、消化の良い食べ物にしてください。

2手術当日

朝食を抜き、朝9時にご来院ください。お飲み物は、来院時までなら構いません。来院後は点滴やかん腸などの前処置を行い、13時になったら手術を行います。それまでは、術後に使うお手入れツールの説明を受け、ナプキンなどを作っていただきます。

3術後

病棟にて、ゆっくりお休みください。なお、麻酔が利いているため、尿意を催したら、遠慮なくナースコールをお願いいたします。

4入院期間

症状により一週間前後をご予定ください。患者さんとスタッフによる「お尻合宿」の始まりです。日帰り手術の場合は、落ち着いたらご帰宅いただけます。

5退院後

その日からお風呂に入れます。通勤可能かどうかは、ご本人の体力次第です。なお、退院しても、一定期間の通院が必要になります。最初の1カ月目は毎週、2カ月目は2週間に1回が目安です。スポーツや運動を開始できるのも、この時期以降になるでしょう。

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